死を恐れない境地~ライオンと聖者

2014-07-20 06:22:09

完全に神意識の境地に到達していた老聖者についてのアンマの言葉です。

帰依者がアンマに聞きました。

「アンマ、観ているもの(観照者)になるとき、何物からも影響されなくなると言われましたが、実際はマハートマでさえ、身体の病気で苦しんでいるようではないですか」

「息子、それは正しいよ。マハートマ(覚りを開いた聖者)が苦しんでいるようだというのは正しいよ。マハートマは決して苦しんでいないのだけど、苦しんでいるように見えるの。ひとたび観照者になれば、自分の肉体の死ですら観ていられるようになり、肉体の苦痛をただ目撃するだけになるのよ。

あるとき、ガンジス川のほとりに老聖者が住んでいた。老聖者は完全に神意識の境地に没入していて、その境地の中で絶え間なく「シヴォーハム、シヴォーハム(私は神)」とマントラを呟いていたの。老聖者の絶え間ないマントラの声は、向こう岸に住んでいるサンニャーシ(禁欲者)たちにも届いていた。

ある日のこと、いつもの「シヴォーハム」を呟きながら河の堤に腰かけていると、ライオンがヒマラヤの森から下りてきて、老聖者の方に近づいてきたの。向こう岸にいたサンニャーシたちが、それを見て恐怖に震えあがっている間に、ライオンは老聖者に近寄って、今にも襲い掛かりそうになったの。彼らは老聖者に向かって大声で叫んだ。

『ライオンだぞー!全力で走って、河に飛び込め‐!』

老聖者は、近づいてくるライオンを目にしたけれど、全く恐れていなかった。これから起ころうとしていることを受け入れたの。地上での人生が終わるときがきたからよ。

しかも、万物と一体化した境地の中に留まっていたので、ライオンと自分自身との違いや分離感が全く感じられなかったの。老聖者とライオンは一つであって、ライオンを通して吼えているのは自分自身だったのよ。老聖者はその場に座ったまま、穏やかに唱え続けた。

『シヴォーハム、シヴォーハム』

サンニャーシ達は、ライオンが老聖者にとびかかるのを震えて見ていた。ライオンが身体を押さえつえている間も、老聖者は何の恐怖もなく唱え続けた。

『シヴォーハム、シヴォーハム』

ライオンは、老聖者の身体を食いちぎり始めた。しかし、何と不思議なこと。それでも老聖者は唱え続けていたのよ。

『シヴォーハム、シヴォーハム』

まるで、老聖者自身がライオンの姿になって、ただ空腹を満たしているかのようだった。死の真っただ中にあって、老聖者はまるで何事も起こってないかのように平然としていたのよ。」

完全に神意識に到達している聖者に対して、聖者の許可がなければ、誰一人として聖者を殺すことも傷つけることもできないとアンマは言われました。きっと老聖者は、肉体を脱ぐ時だったのでしょう。

全ては一つ、すべては神であるという意識に到達すると、こんなこともできるのか、と驚いた話でした。

ありがとうございました♡

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